SaaSがISVのビジネスに起こす変化:営業プロセス(Webinar抄訳)

Windows Azureの製品サイトにpartnersページがあります。

http://www.windowsazure.com/en-us/community/partners/

英語表記/日本語表記の切り替えは左下の言語設定で選択可能です。

このなかの”Learn about it”というセクション(日本語では「詳細情報」セクション)に
“How SaaS Changes an ISV’s Business”というシリーズのWebinarが6本リンクされています。

いずれもビジネス系の方に向けた内容ですが、この中で一番視聴されている”The Sales Process” について簡単に訳をつけてみました(字幕にできれば良かったのですが…。)。SaaSモデルによって変化するビジネスモデルで一番気になるとよく聞かれる部分ですので、ぜひご覧ください。

(日本語訳の各セクション末にある数字は、ビデオの経過時間目安です。赤太字は特に関心を持っていただきたい部分です)

以下抄訳

SaaSによってISVのビジネスには変化がもたらされますが、最も重要なのは営業プロセスです。既存のISVがSaaSで成功するためには、この変化に立ち向かう必要があります。(0.16)

≪スライド:オンプレミスとSaaSの営業プロセスの比較≫

何を売るのであれ、営業プロセスは顧客が製品に出会うところからスタートします。
営業チームは次に、製品がどのように顧客のニーズにこたえることができるのか、デモをして説明していきます。
顧客はそれによって、製品の価値についての印象を得ます。大概の場合、ここがオンプレミスアプリケーションの場合の
購買決定のタイミングです。顧客は、実際の製品をビジネスシナリオ上で実際に触ってみる機会はほとんどありません。
ですから、印象として理解した価値のみで決断することになります。(0.55)

これを、SaaSアプリケーションを購入する時のプロセスと比べてみましょう。
ほとんどのSaaS事業者が、購入前に試用できるオプションを提供しており、場合によっては
フル機能を数か月無償で使えるようにしています。
インストールの必要がありませんから、このような試用はオンプレミスソフトウェアと比べて顧客にとっても容易です。
試用後には、製品を十分に体験して、実際の価値を理解することができます。
そして、この時こそがSaaSアプリケーションの購入を決断するタイミングなのです。
印象として感じた価値のみに基づくよりも、顧客はこの製品がもたらすベネフィットについて
十分に確信を持って決断することができるのです。
間違った判断をするリスクを減らしますから、顧客がこのアプローチを好むことは想像に難くありません。(1.50)

SaaSではユーザ数単位、月額課金で少ないシート数からスタートするのが通常です。
これは、ISVにとっては不利な部分です。先にまとまった金額を受け取れないですから。
しかし、利点もあります。最初の小さな購買、すなわち比較的少ない投資額のものは
大きなROIを見積もる必要がありませんから、顧客の組織で上層部の決済が必要ない場合があります。(2.23)

先ほど見せたダイアグラムではSaaSの場合は営業サイクルが長くなるように感じたかもしれませんが、
ROIの説明が簡単になる分、サイクルは短くなるかもしれません。(2.35)

そしてひとたび最初の購買がされれば、価値のあるSaaSアプリケーションは組織のなかで
最終的により多くのユーザを得ることになります。このアプローチは”land and expand” と呼ばれることもあり、
SaaS事業者では一般的なアプローチになってきています。(2:52)

しかし、SaaSは顧客のアプリケーション購入の方法を変えるだけではありません。
アプリケーションを販売する組織が、営業部隊をどう評価するか、も変えます。
オンプレミスソフトウェアの場合、従来のライセンス販売では、十分大きなボリュームの売上げをすぐに生みました。
ですから、この実収入の一部を営業コミッションとして支払うことができました。
SaaSアプリケーションのサブスクリプションを販売する際は、違ってきます。(3.23)

新しい顧客で10ユーザの契約を1か月あたり1ユーザ10ドルでとったとしても、
オンプレミスと同様にすぐに売上げを生むことはできません。
この契約は、しっかりとした長期の売上げをもたらす基となるかもしれません。
”Land and expand” を覚えていますよね。ただ、初期の収入は小さいのです。
では、この契約をとった営業をどのように評価すればよいでしょうか。(3.46)

絶対の正解はありません。ただ、いくつかの選択肢はあります(3.50)

営業担当者が、契約初年度に見込まれる年間売上額に基づいてすぐにコミッションを支払われるパターン。
これは営業担当者を動機付けます。ただ、リスクもあります。顧客が途中で解約するかもしれません。
そしてSaaSビジネスの資本を食い尽くしてしまうかもしれません。
年間利用料を一括前払いする顧客に対して値引きをすると、この選択肢はより現実的かもしれません。
なぜなら、コミッションのベースになる売上げがすぐに上がるからです。(4.18)

2番目の選択肢は、月々ISVが顧客から実際に受け取る金額にのみ基づいてコミッションを月次払いするパターン。
1年経過後は、担当者はそれぞれの顧客の利用に応じて1年目よりは少ない金額を毎月受け取ることになるでしょう。
このアプローチは、営業担当者を十分に動機付けるには足りないかもしれません。
ですから、ISVはSaaSアプリケーションの営業コストを削減しなければならないでしょう。たとえば直接顧客を訪問せず、
電話で営業活動をするようなインサイドセールス(内勤営業)へ切り替える必要があるかもしれません。(4.51)

3番目の選択肢は、ISVが大規模利用の案件のみ販売し、通常のコミッションを支払うものです。
このアプローチでも、SaaSアプリケーションは利用量に応じた課金をします。
顧客は大容量の契約を、前もって一括で支払うのです。このアプローチは前払いの売上げになり、
従来のライセンス販売の形と大差ありません。ですから、ISVはコミッションをこれまで同様の方法で支払うことができます。(5.21)

典型的なSaaSの価格体系は、あなたや営業チームがビジネスをどう理解するかについて、
もう一つの重要な変化を示唆しています。

売る側も、顧客も、ISVの第4四半期が最も重要だということを認識してきました。
売り手側が年間の実績値を確定する必要がある時期だからです。
しかし、サブスクリプションが基本となるSaaSビジネスでは、第4四半期が重要ではなくなります。
むしろ、第1四半期が最も重要な時期になります。
考えてみてください。第1四半期の販売が、年間を通しての収入につながるのです。
一方、第4四半期の販売は、年間のほんの一部の収入にしかなりません。
すなわち、第1四半期の販売の方が、年間売上げにずっと大きく貢献するわけです。
ですから、コミッションが第1四半期の販売を促すような構造になっているかどうかを、よく考える必要があるのです。
SaaSビジネスでは、「素晴らしい成績の第4四半期」が年間目標を達成してくれた、とは行かないのです。(6.21)

最後に、覚えておいていただきたいのは、SaaSビジネスに進出するということはパートナーとの関係も変化するということです。
販売代理店、リセラー、SI、などはすべて、オンプレミスのモデルにおいて重要な役割を果たすことができました。
たとえば、彼らがあなたの製品を代わりに売ってくれたかもしれません。
または、導入、カスタマイズ、運用管理などのサービスを提供してくれたかもしれません。
ほかのビジネスと同様、パートナーは自分たちにメリットがあるからこのような役割を果たしてきたわけです。
つまり、あなたと仕事をすることで収益を得ていたわけです。しかし、SaaSはこのすべてを変えます。(6.53)

第一に、サブスクリプションベースの価格体系は、分配できる収入を少ししか生み出しません。
少なくとも最初の段階では。典型的なSaaSの価格体系が、自社の営業チームを動機づけるのが難しいのと同様に、
パートナーをその気にさせるのも簡単ではありません。パートナーからの支援はかなり小さくなってしまうかもしれません。(7.14)

第二に、SaaSアプリケーションは、従来パートナーが提供してきたサービスのかなりの部分を不要にしてしまいます。
たとえば、SaaSアプリケーションはクラウドで稼働しますから、導入サービスは不要です。
継続的な運用管理サービスの必要性も低くなります。SaaSプロバイダーであるあなたが、
その多くの部分を自社で提供するからです。
周辺サービスをあなたの顧客に提供してきたパートナーは、ビジネスが縮小することになるでしょう。
また、SaaSアプリケーションもいくらかの設定などは必要になりますが、カスタマイズはかなり限定的であることが多いです。
オンプレミスアプリケーションのカスタマイズを提供してきたパートナーは、
SaaSによってそのビジネスが縮小することが予想できるでしょう。(8.03)

結論は明らかです。SaaSは一時的に、パートナーの収入を従来に比べて減らします。
ですから、あなたの製品を売るというインセンティブは低くなります。
つまり、ISVは販売の主な比重は自分たちにかかるということを覚悟しておかなければなりません。
または、協業してくれる新しいパートナーを探すことになるかもしれません。
SaaSというまったく異なるモデルのなかで生き延びることを選択できるパートナーを。
これまでのパートナーとの関係については、変化を想定しておかなければなりません。(8.36)

SaaSモデルを採用すると、営業プロセスに非常に多くの変化が起こります。
顧客が、購入を決める時に何を知っているのか、が変わります。
自社の営業チームをどう評価するか、が変わります。
パートナーとの関係が変わります。
これらの変化を受け入れるのは、簡単ではありませんが、避けることはできません。
そしてこれらのすべてが、SaaSで成功するために欠かせないことなのです。(9.05)

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SaaSがISVのビジネスに起こす変化:営業プロセス(Webinar抄訳)」への5件のフィードバック

  1. ピンバック: SaaSがISVのビジネスに起こす変化:移行(の損得)を見極める(Webinar抄訳) | TANTO – poco a poco

  2. ピンバック: SaaSがISVのビジネスに起こす変化:簡易デシジョンツリー(Webinar抄訳) | TANTO – poco a poco

  3. ピンバック: SaaSがISVのビジネスに起こす変化:顧客、課金モデルと収入(Webinar抄訳) | TANTO – poco a poco

  4. ピンバック: SaaSがISVのビジネスに起こす変化:平均販売価格の影響 (Webinar抄訳) | TANTO – poco a poco

  5. ピンバック: SaaSがISVのビジネスに起こす変化:マーケティング、ソフトウェア開発、その他(Webinar抄訳) | TANTO – poco a poco

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